100年ダイアリー

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松方コレクション展鑑賞記

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さようならゴッホ作「アルルの寝室」!

 2度目の西洋美術館でした。一昨年の11月23日の勤労感謝の日NHKで朝から松方コレクションを特集した番組を妻と観て感動して昨年の4月に子供たちを連れて初めて西洋美術館を訪れました。西洋美術館の設立はフランス政府がフランス国内で没収した松方コレクションを返還する(フランス政府としての立場は寄贈)条件として60年前の1959年にル・コルビュジェの設計により建設されました。その経緯については原田マハが小説にして描いています。本を読んでから訪問しました。

  この小説に出てくる田代雄一という美術史家のモデルである矢代幸雄著の

「芸術のパトロン」の冒頭に松方幸次郎との思い出が描かれておりその本も読んで訪問しました。

 初訪問時は常設展会場でした。今回2度目の訪問の目的は、NHKの番組のラストで紹介されたのですが、画家プラングインが描いた松方幸次郎の肖像画が松方幸次郎の孫の家から外されて西洋美術館に寄贈されたその絵が展示されるという点とフランス政府が返してくれなかったゴッホ作の「アルルの寝室」を観るためでした。

  さすがはゴッホですね。色遣いが鮮やかなキラキラした絵でした。目の保養になりました。さすがにフランス政府はこの絵は返してくれないですね。寄贈返還(日本政府の造語)当時フランス国民の間では敵国だった日本への寄贈(日本政府は返還との立場)には強い反対意見があったようです。小説にはこのあたりの政府間同士の攻防も描かれていました。この松方コレクション展は本日(9月23日)をもって終了します。本物の「アルルの寝室」を観たい方はパリにあるオルセー美術館に行かなくてはいけません。

観る価値はあると思いますが、まあ旅費がかかりますね。

しかし、現代に生きるわたくしたちは幸せ者です。100年前の日本人は気軽に海外へはいけませんでした。松方幸次郎のような大金持ちや矢代幸雄のような超エリートにしか行けませんでした。そんな松方幸次郎が日本の画学生の絵の勉強のためにと美術館をつくろうなどという途方もないバカでかい夢を抱いてくれて、また、莫大な私財を出して買い集めたお宝を日本にいながら見られるのです。筆者自身、図工が得意な長女の絵の参考になればと思い西洋美術館に家族総出で足を運びました。美術の本を読むと日本の義務教育における美術教育は、なっていないそうです。デッサンを教えない。色使いも教えない。見たまんまを感性のみで書かせるとは掛け算の九九を教えないで自由に感じたまま計算しないさいと言っているようなものだと書いてありました。とはいえ、現実をなげいていても仕方がないので、本物の芸術作品をたくさん見ることが絵の勉強になると信じてやっております。まあ、親バカですね。親バカ上等です。親バカを描いた小説では近年には直木賞を受賞した門井慶喜著の「銀河鉄道の父」があります。まさに親バカ上等をえがいております。

  まあ、今回のところはこの辺にしときます。松方コレクション展を行く前から、観ながら、また見終わってから色々なことを考えました。

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